第5回 とちぎアントレプレナー・コンテスト結果発表

  次代を担う若者から起業プランを公募する「第5回 とちぎアントレプレナー・コンテスト」の表彰式が2018年2月24日、下野新聞社本社で開催。最優秀賞は小泉泰英さん(宇都宮大学農学部3年)の「株式会社だいちの輪」が受賞。青木圭太実行委員長(青木製作所代表取締役)から開業資金100万円が贈られました。今回は732件の応募がありました。今回はエントリーシートで審査したうえ、審査委員の助言を反映した事業計画書を作成。さらに初のプレゼン予選を行い、同月10日の最終プレゼンに臨んだ11件について各賞を決めました。

※第5回受賞者の在籍校と学年は2018年2月24日現在です。

第5回コンテスト結果
エントリー 732点(合34校)
★最優秀賞---------  宇都宮大学
★優秀賞------------ 宇都宮女子高校、宇都宮短期大学附属高校

★審査員特別賞----   栃木県立盲学校矢板東高校
★奨励賞------------ 日本女子大学、那須拓陽高校、宇都宮白楊高校、足利高校、小山北桜高校、宇都宮高校

■下野新聞2018年4月6日(金)付 入賞者発表

ダウンロード
第5回アントレ新聞180406_3zs.pdf
PDFファイル 3.9 MB

最優秀賞〈1点〉

●賞状 ●副賞(記念楯、賞金5万円)
●新会社開業資金100万円+育成プラン(平成30年度)

 

最優秀賞

農業と子どもを大切にする社会を目指して

株式会社 だいちの輪

代表: 小泉 泰英さん(宇都宮大学農学部3年)

  私が目指すのは農業と子どもを大切にする社会です。農業から子どもを支える事業を行います。お母さんと赤ちゃん向けに、安心安全な自然栽培の農産物を販売し、その食材を使った離乳食やおやつを開発します。

 当社の商品は濃縮した米麹でつくる甘酒「ママ糀(こうじ)」です。ノンアンコールです。甘酒は「飲む点滴」と言われる栄養源です。女性に必須の甘みがあり、最近、発酵商品に注目が集まっているので、妊婦さんにアピールできます。つわりのときの栄養補給にも最適です。糀のオリゴ糖と食物繊維は便秘解消に効果があります。甘みが天然で、体調管理が難しい妊娠後期の体調管理に甘みを補給できます。材料は自然栽培です。販路確保と、価格競争を避けるため、産婦人科医院とその周辺の薬局で販売します。ECサイトも駆使します。妊婦さんがスマートフォンで注文でき、商品が自宅に届くシステムです。 県内を拠点に、全国展開をしたい。皆さんとともに、本県の農業と産業を盛り上げていきたい。

[同時受賞] 

 オーディエンス賞(提供/ 足利銀行)

  ●賞状 ●副賞(現金3万円)

 最終選考会での観覧者投票で決まる「オーディエンス賞」!

  一般公開の最終選考会では観覧者にも審査していただき、発表が良かったと思う新会社に投票。

  投票者にはクオカード(5千円分×4名)が当たる抽選会も実施しました。

 

 

 FAAVO宇都宮賞(提供/株式会社 モンキークルージャパン)

  ●賞状 ●副賞(クラウドファンディングFAAVOでの全力サポート券)

 

プレゼン動画をみる


優秀賞〈2点〉

●賞状 ●副賞(記念楯、賞金2万円)

 

優秀賞

自然の彩り、栃木の伝統「草木染め」を日常へ

株式会社 kusaki colors

代表: 舘野 知紘さん(宇都宮女子高校1年)

 当社の目的は、本県の伝統工芸である草木染めの技術を利用し、どんな場面にも、誰にでも楽しんでいただける彩りを日常に届けることです。革新的なカラーリング原料を生産販売します。従来の染料にとどまらず、岩絵の具のような画材や家庭料理を鮮やかにする食用色素としても使える顔料の生産を目指します。植物由来の商品であり、生産工程で発生するCO2や、廃棄する際にかかる環境負担が軽減できます。「ロハス」を重視する消費者の需要が期待できます。

 女性の社会進出をもっと広めていくためにも、まず私が起業家という夢に挑戦したい。

優秀賞

放置空き家のリノベーションで地域振興

株式会社 rain

代表: 髙塩 翼さん(宇都宮短期大学附属高校3年)

 日本社会が抱える様々な課題を解決するため、活動していきます。その先駆けの事業として放置空き家をリノベーションし、再活用を促します。当社は民泊やシェアハウスサービスを提供し、所有者に利益を還元します。シェアハウス入居者には自社関連の飲食店や農家など働く場を紹介します。農家の新たな担い手が見つかる可能性もあります。

 この事業を空き家が多く存在し、ホテルがない宇都宮市大谷地区で展開します。民泊サービスを利用し、空き家をホテル代わりにして大谷の観光を盛り上げていきたい。

 

 

 

[同時受賞] 

 BC賞(提供/ (株)ブレーン・コーポレーション)

  ●賞状 ●副賞(お寿司券1万円分)


審査員特別賞〈2点〉

●賞状 ●副賞(賞金1万円)


審査員特別賞

障がい者雇用と「初音ミク」が融合した新ジャンルのカフェ

会輪「かいわ」 株式会社

代表: 岡澤 洋成さん(栃木県立盲学校1年)

 障がい者理解を進めるには障がい者と健常者がもっと関わることが必要です。

 障がい者雇用と「初音ミク」が融合した企業を創り、まだ見たことのない新ジャンルのカフェを開きます。サブカルチャーを取り入れることで、障がい者理解に関心が薄い若年層を取り込むことができます。

 カフェでは一般就労を希望する障がい者に対し、実習を通じ一般企業が求める人材を育成する障がい福祉サービス「就労移行支援」を行います。企業が本気で求める、臨機応変で社交性のある人材育成に貢献します。この事業の実現によって新しい共生社会の幕開けになります。

審査員特別賞

那須の自然の魅力を世界に発信

株式会社 Play with nature

代表: 小貫 龍太郎さん(矢板東高校1年)

 那須の自然の魅力を国内と世界に発信するため、那須の自然体験をメインにしたサービスを提供します。顧客層は外国人旅行客と日本の若い世代を想定しています。事業はネイチャークラフト教室や紅葉トレッキング、アユ釣り、蛍の鑑賞会、スノーシュー体験などの自然体験や宿泊などを行い、総合的なサービスを展開します。

 那須の自然に目を向けていただき、世界的課題の環境問題の改善につなげたい。那須の自然の有効利用や物産店など地元のお店の集客が見込めるトータル的なサービスプランを実現し、地域活性化につなげていきたい。


奨励賞〈6点〉

●賞状 ●副賞(クオカード5千円分)


奨励賞

リモートワークで新しい可能性を見いだす

Pay forward 株式会社

代表: 松本 愛さん(日本女子大学4年)

グル−プメンバ−: 原 千尋さん(明治大学2年)

 当社は場所や時間にしばられず働けるリモートワークに特化した、学生向けアルバイトの紹介サービスを行います。学生は好きな時間、好きな場所で報酬を得ることができます。企業には正社員が担当しなくてもいい、外注可能な仕事がまだまだあると思います。このシステムで経費を削減し、安定的な受注システムを確保できます。

 いろいろな障壁があって自分がやりたいことができないことがあります。ライフスタイルに合わせた働き方で収入を得られるリモートワークによって、新しい可能性を見いだすことができます。

 

 

 

[同時受賞] 

 パソコン太郎賞(提供/ パソコン太郎(株))

  ●賞状 ●副賞(1年間のパソコン太郎によるITコンサル(60万円相当))

 

奨励賞

エスニック野菜の栽培で耕作放棄地の有効利用

株式会社 ASEAN

代表: 加藤 輝一さん(那須拓陽高校1年)

 アジアからの留学生や研修生、観光客が増えています。そこで、アジア諸国で人気食材の空心菜や、グルテンフリー食材で注目されているキャッサバイモを遊休農地で栽培し、販売します。

 私はベトナムと日本のハーフで中学卒業までホーチミンで育ちました。日本でアジア料理の食材を手に入れるのが難しい状況です。エスニック野菜の需要は高まっており、これがビジネスで成功する可能性が十分あります。普及すれば耕作放棄地の拡大を防ぐ切り札になるかもしれません。温泉熱を利用した温室栽培や6次産業化も進め、地域活性化に役立てたい。

奨励賞

伝統工芸の技術を未来へつなぐ

株式会社 未来職人

代表: 富田 桜花さん(宇都宮白楊高校1年)

 当社は「職人の技術を未来へつなぐ」をモットーに、職人の方々をサポートする会社です。日本だけでなく世界に技術を発信し、それによって技術の衰退や職人さんの高齢化に歯止めをかけたい。本県で伝統工芸品を製作する工房のPR活動を代行します。工房の様子や工芸品などをYouTubeやSNSに投稿します。メインの活動は伝統工芸品の製作体験です。

 伝統工芸を知る機会をつくり、職人を志す若い人を増やしたい。

 今、誰かが技術をちゃんと守らなければ、職人さんの技術はいずれ消えてしまいます。

奨励賞

栃木の創生のため魚の養殖技術を発信

株式会社 堀越地方創生

代表: 堀越 悠斗さん(足利高校2年)

 日本の食料自給率を上げられるよう、本県から地産地消を進めていきたい。

 今回、一番力を入れて栃木の食を提供したいお客様は2020年東京オリンピックで本県にベースキャンプを置くハンガリーの方々です。温泉でフグを養殖する技術をハンガリーに持って帰っていただき、本県との親交をさらに深めていただきたい。本県が漁獲量全国3位の鮎、4位のニジマスの養殖に力を入れることも大切です。水産業の他、観光やイベントを盛り上げるため、他企業と連携し、より良い本県創生のために活動していきたい。

 

[同時受賞] 

 ジョイトーク賞(提供/ (株)ジョイトーク)

  ●賞状 ●副賞(オンライン英会話チケット、フグ料理チケット3人分)

奨励賞

孤独死や空き家問題を解決するシェアハウスの管理運営

株式会社 あさうみ荘

代表: 大嶋 麻央さん(小山北桜高校2年)

グル−プメンバ−: 浅田 奈海さん(同)

 当社は、孤独死と空き家の増加を解決するため、「第二の人生を楽しく」をコンセプトに、空き家を利用したシェアハウスを運営、管理します。40歳以上の独身者を対象に、生活リズムを崩さないよう、家政婦を配置します。シェアハウスの入居者同士が助け合い、快適な生活を送ることが特徴です。

 孤独死の原因に人とのつながりの希薄さ、地域コミュニティの減少があります。入居者と地域の方々が一緒にイベントを開催します。このイベント開催で当社を知ってもらう機会にもしたい。

 

 

[同時受賞] 

 とちぎスマイル賞(提供/ (株)ピースノート)

  ●賞状 ●副賞(東京ディズニーランド・ペアチケット)

奨励賞

友好、姉妹都市への関心を高めるために

Miya’s friends 株式会社

代表: 神山 颯平さん(宇都宮高校2年)

 宇都宮市には3つの姉妹都市と2つの友好都市があります。当社はそれらの都市を深く広く知ってもらうため、その土地の有名な品を輸入し販売します。

 今回お薦めめしたいのは、イタリア・ピエトロサンタのイタリアンマルモ(大理石)でできた器です。マルモとは大谷石の関係で姉妹都市になりました。宇都宮市大谷地区に店舗を構え、販売を通じて宇都宮市、大谷地区、ピエトロサンタの3者に興味を持っていただきたい。

 この事業は行政、市民の皆様の協力が必要です。3者が手を取り合い、宇都宮をより良いまちにしていきましょう。

 

 

[同時受賞] 

 栃木イノベーション賞(提供/ (株)下野新聞社)

  ●賞状 ●副賞(5,000円分の図書カード)


■第5回とちぎアントレ審査総評

 今回応募されたプランからは、少子高齢化など、日本社会が抱える課題を少しでも解決したいという熱い熱意が伝わってきました。最優秀の小泉さんのプランは商品化で県内農家と連携をとるなど、非常に熟度の高い内容です。商品化すればヒットするのではないでしょうか。

 本県は企業開業率が全国下位にあり、新しく会社を起こす人が少ない。皆さんはプレゼンで得たノウハウを将来に活かし、自分の夢を実現していただきたい。

審査委員長・石崎 公宣 氏

下野新聞社 地域貢献推進室


■実行委員長あいさつ

  受賞者の皆さん、おめでとうございます。最優秀賞の小泉さんは、社長となって活躍してもらいます。他の10組の方々も、応募された732組の中から最後まで残っただけあって、素晴らしい起業プランでした。皆さん、アントレプレナーシップを常に持ち続けてください。
 本日、表彰された皆さんは、お互い仲間として、今後も連絡を取り合い、起業の夢を語り合っていただきたい。

 実行委員長・青木 圭太 氏

青木製作所 代表取締役


●参加者インタビュー(懇親会)

 表彰式の後は、簡単な名刺交換セミナー(学生全員に名刺を支給)を行い、懇親会(ドリンク&スナック)の中で学生起業家を支援するたくさんの企業の方々と名刺交換を行いました。

(第5回とちぎアントレプレナー・コンテスト参加者の懇親会/2018年2月24日 下野新聞社5F大会議室ロビー)

 


第4回 とちぎアントレプレナー・コンテスト


第3回 とちぎアントレプレナー・コンテスト


第2回 とちぎアントレプレナー・コンテスト


第1回 とちぎアントレプレナー・コンテスト