◉学生社長になった先輩たちの「エントリーのきっかけ」がわかる座談会

2013年にスタートした「とちぎアントレプレナー・コンテスト」で最優秀賞を獲得し学生起業家の道を進みはじめた4人と、とちぎアントレ実行委員長の青木圭太氏が、「起業のヒント」を解き明かします。

小さなアイデアでも、このコンテストで夢が叶う!


■青木氏:皆さんのエントリーのきっかけは?

 

小堀さん高校1年の時にアイデア賞でクオカードがもらえたらラッキー!!と思って、軽い気持ちで応募しました。
海外出張の多い父が「家族の料理を食べたい」とよく言っていて、どうにかして家族の手料理を出張先まで送れないか、ということを中学生のころから思っていました。このコンテストでその夢が叶えられないかと。

 

柴田さん小さいころから経営者になりたかった。自分の会社を持って好きなことを精一杯やってお金を稼ぎ、お母さんを楽にしてあげたいというのが始まりです。母子家庭という環境の中で強く生きているお母さんがいるし、自分で生きる力をつけようとしている私たち世代の子ども達もいると思う。そういう人たちの励みになることが私の目標かな、という思いも。社会に目を向けると社会的弱者といわれる女性や小さな子は常に危険にさらされていると感じ、そういう人たちを助けられるような製品、サービスというものを作って届けられたらと思いました。コンテストは自分を成長させてくれるのではと思って、学校が忙しかったけど応募しました。

株式会社
P - project
代表取締役社長 
柴田 紗莉菜 さん

「小さなボディガードをあなたの手元に」をコンセプトに、近未来型の防犯ブザーを開発中。

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プロフィール

2014年9月/鹿沼高校2年の時に、第2回とちぎアントレにエントリー
2015年3月/第2回とちぎアントレ最優秀賞受賞
2015年4月/鹿沼高校卒業、高崎経済大学経済学部入学、社長育成プラン・スタート
2015年8月/株式会社 P - project 設立、代表取締役社長に就任
現在/高崎経済大学経済学部2年

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中道さん高校でコンテストのチラシを見てドラえもん的発想で「こういうものをつくれたらいい世界になる。もっと楽しくなるんじゃないか」と友人と雑談しながらアイディアをぶつけ合ったことがきっかけ。雑談が進んで、「勉強が戦闘力になったら面白い」というところに行き着きました。学生だからこそ思いついたアイディアです。

 

八木澤さん少子高齢化が進む自分のまちを盛り上げたいなと思って、まちづくりの活動をしている中でコンテストのことを知りました。自分のアイディアで那須を盛り上げられたらと観光会社を作ろうと考えました。高校生のうちにアイディアを出して、失敗してもいろいろな方からアドバイスをいただけるし、優勝すれば100万円もついてくる。挑戦するしかないと思いました。

 

 

 

青木氏:コンテストに参加してよかったことは?

 

小堀さんたくさんあります。経営者になれたという今の状態ももちろんよかったことですし、いろいろな人に会う機会をたくさんいただきました。ライバルとして一緒に参加した仲間とは、今でも連絡を取り合っています。海外や東京で起業を目指して頑張っている人もいます。今、こうしてみんなと話ができるのも参加してよかったことです。大学の推薦入試の面接でもアントレの経験は強みになったと思います。

Memorable Taste
株式会社
代表取締役社長 
小堀 詩 さん

「家族の味、思い出の味を缶詰に」をコンセプトに、手料理を缶詰にする事業を展開中。

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プロフィール

2013年9月/宇都宮北高校1年の時に、第1回とちぎアントレにエントリー
2014年3月/第1回とちぎアントレ最優秀賞受賞
2014年4月/社長育成プラン・スタート
2015年1月/Memorable Taste 株式会社 設立、代表取締役社長に就任
2016年3月/宇都宮北高校卒業
2016年4月/白鷗大学経営学部入学

現在/白鷗大学経営学部2年

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柴田さんコンテストに参加するため、身の回りの同級生、市役所の方、警察署の方、一般のお爺ちゃん、お婆ちゃん、保育園児たちと話す機会を一杯いただいてプレゼンに臨めました。それが私の一番のアドバンテージになりました。アントレでいろんな経験をし、多くのことを学ぶことができました。

 

中道さんそれまで学生という身分にとどまった世界しか見られていなかったけど、ビジネスの世界、大人の世界をのぞけた。自分が狭い世界で、狭い視点で見ていたことに気づかされたことが大きかったですね。自分のアイディアに共感した方から、将来活かせる様々なアイディアをもらえたこともよかったことです。

八木澤さんもともと政治の世界に興味があって政界の人との関わりはあったのですがビジネスの人との関わりはあまりなくて、経営面のことを学べたことが一番です。優勝したことで反響もすごく大きくて、「那須をこうしてくれよ」「想いを共感できる」とか、「こういう若者が出るといいなとずっと思っていた」「これからは君たちの世代がまちをつくる番だから、がんばってくれよ」とか言ってもらえる。自分がこの町のためになっていると思えたことがよかった。少しは那須の人に恩返しができたのかな。

株式会社 那須旅
代表取締役社長 
八木澤 玲玖 さん

那須の魅力を世界に発信し、外国人も呼び込める「地域密着型の旅行代理店」を設立。

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プロフィール

2016年9月/黒磯高校2年の時に、第4回とちぎアントレにエントリー
2017年3月/第4回とちぎアントレ最優秀賞受賞
2017年4月/社長育成プラン・スタート
2017年6月/株式会社 那須旅 設立、代表取締役社長に就任
現在/黒磯高校3年

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青木氏:これからの夢を聞かせてください

 

小堀さん今は、介護食の缶詰を作っています。東日本大震災の時に病気のお年寄りの方のための非常食の缶詰がなかったことがきっかけです。もう1つは、バイクのツーリングの際などに利用してもらう缶詰「旅缶」の試作販売をしています。この2種類の缶詰の販売を軌道に乗せることが夢です。軌道に乗ったらコンテストのアイディアである手作りの缶詰を作って海外に送る仕事もやりたい。

 

柴田さん大学生活の間に何か形にできる製品を、ということでいろいろお話をいただいていて、そのプラン作りがこれからのビジョンです。今までは大学生活を優先していたのですが2年生になって生活も安定してきたので、ここでやるしかないと思っています。

 

中道さんこの夏、ディベートの世界大会に日本代表として出場するので、そこで人脈づくりをすること。それから大学に合格すること。一つ一つ、全力をかけてやっていくというのが学生である自分の今の目標です。長期的には、コンテストのプランを中高生に夢を与えられるくらいには成長させていきたい。VR、AR、世界はどんどん変わっていくと思いますが、そのテクノロジーに追い抜かれないように常に新しいもの、「これあったらいいな」という夢のようなものを与えられる会社に、一瞬でもいいからなれたら、それは成功と言えるんじゃないかな。そこまで成長させるのが、自分の大きな目標です。

株式会社
Cyber Academy
代表 中道 理仁 さん

VA、ARという先端技術を活用し、「教育を楽しく、意味のあるもの」とするシステムを考案。

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プロフィール

2015年9月/宇都宮高校1年の時に、第3回とちぎアントレにエントリー
2016年3月/第3回とちぎアントレ最優秀賞受賞
2016年4月/社長育成プラン・スタート。大学受験のため会社設立を延期し、学業を優先しつつ、起業準備中。
現在/宇都宮高校3年

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八木澤さん那須の人が自分の地域が盛り上がったなと実感してもらうことが一番の目標。とりあえずは人脈づくりから。会社以外では、もっと社会に積極的に出ていける若者をつくりたい。ボランティアをしたいけど、どうしたいいのかわからないという人がたくさんいる。若者を巻き込んで社会参加を応援するような活動がもう1つの夢です。

 

 

〈座談会に参加くださった学生社長のみなさん、ご協力ありがとうございました〉